小説「神のふたつの貌」貫井徳郎

あらすじ

――神の声が聞きたい。

牧師の息子に生まれ、一途に神の存在を求める少年・早乙女。

彼が歩む神へと至る道は、同時に己の手を血に染める殺人者への道だった。

これは大いなる「神」と言う存在についてを語る深淵なる物語だ。

「神は何処?」

これが早乙女が求めるものだ。

余りにも純粋な欲求ではないか。

特にクリスチャンは「神を求める」欲求を強くする宗教だから、環境が影響していたのかも?

早乙女は絶望している郁代に対し、「死になさい」と自殺を勧めるのだが、彼のこの事に対し、私は共感した。

だって、絶望しか残っていないのならば、「死」と言うのは救済に当たる、と考えているからだ。

ただ生きればいいということは間違っている。

絶望に彩られた人生に「死」と言う道を示すことも重要である。

こういう深く思考する作品は、とても大好きだ。